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初心者の方は点検と言っても何を点検すればいいのかわからないと思います。
この記事では、エアコン点検の仕方を空調メンテナンス歴30年の私が初心者の方向けに、わかりやすくふかぼりしていきますので参考にしていただければ幸いです。
点検者は適正な位置を測定し記録すること、ある程度の経験が必要にはなりますが、各温度測定・圧力測定・配管内を流れる冷媒の状態を把握し理解できれば故障を未然に防ぐことも可能になります。
現場であわてないようにするためにある程度勉強しておきましょう。
ではエアコンを点検していきます。
室内機点検
まず室内機から順番に見ていきましょう。
1)異常が出ていないか確認する
異常が出ていないかリモコンで確認します。
何か異常が出ていたらわかりやすいですね、各メーカーの異常履歴から関連部品の交換修理が必要ですと報告書に記載しましょう。
下記の記事内に各メーカーのエラーコード検索ができますので参考にどうぞ
【エアコン インバーター不良】インバーター故障時に各部品を理解する
異常音はないですか?
室内機の異音は気になりだしたらとまりません。下記を例にしますので参考にしてください。
1、ファンモーターの異常音。※関連部品の交換必要と報告書に記載する。
(交換部品の参考)ファンモーター・ファン・防振ゴム・進相コンデンサーなど
2、ルーバーのスイングモーターの異常音。※関連部品の交換必要と報告書に記載する。
(交換部品の参考)ルーバー・スイングモーターなど
3、天井カセット型エアコンならドレンポンプの異常音。※早期交換を推奨する。
※異常音よりスライム発生などの汚れによる詰りの方が多い。
1〜3は消耗部品です。使用状況にもよりますが、異音がしだしたら交換しましょう。
4、冷媒が流れる音。※様子を見ます、おさまれば異常ではありません。
5、風切り音。※フィンコイル・エアーフィルター・ファンなどの汚れによる目詰りが考えられます。
※ 3)に詳しく説明
2)リモコンは冷房・暖房運転になっていますか❓
あっ、送風になってた❗️ってことがたまにあります、何かの拍子で切り替えボタンを押してしまっていたりして送風になっていることがあります。(壁掛け用リモコンに多い)
冷房・暖房運転に切り替えます。
3)風量は出てるかな❓
リモコンで弱、中、強と変えてみて風量が切り替わり風が出ているか確認する。
風量が足りていないと部屋は冷えてきません。
原因は部屋全体の空気をかき混ぜるほどの風量が出ていないためです。
エアコンの近くだけが涼しい、これじゃ部屋全体は冷えないですね。
原因として考えられるのは
- エアーフィルターにホコリが目詰まっている・・・掃除することで改善します。
- フィンコイルにホコリが目詰まりしている・・・エアコンの分解洗浄が必要です。
- ファンが汚れで目詰まりしている(ルームエアコンに多い)・・・洗浄しましょう。
風量についてはこれで解決されます。
ファンの強弱が効かない又は回っていないなどは何か故障していますので部品交換です。
(部品交換の参考)プリント基板・ファンモーターなど
不具合は報告書に記載し対応修理を推奨します。
4)室内機の温度測定をしてみる
ここから少しややこしくなります。
エアコン室内機の吸い込み温度と吹き出し温度を温度サーミスタで測定します。
冷房運転し、エアコンの吸い込み温度(エアーフィルターの周辺の温度)を測定します。
例①吸い込み温度が28度なら吹き出し温度(風が出てる周辺の温度)は18度ぐらい、この温度差は−10度前後がポイントです。
もちろん吸い込み温度が下がってくれば吹き出し温度も下がってきます。温度差は-10度前後
例② 吸い込み温度28度だった場合、吹き出し温度が低すぎる、例えば吹き出し温度5度(温度差−23度)とかは風量不足です。
冷媒不足ではないです、吹き出し温度は冷えてるんだけど風量が少ないから部屋を冷やすことが出来ない状態です。
なのでエアーフィルター・フィンコイル・ファンを洗浄すれば解決します。
例③ 吸い込み温度が28度だった場合、吹き出し温度も28度(温度差0度)は下記のことが考えられます。
・サーモOFF・・・温度設定を下げてください。
・冷媒不足・・・冷媒ガスがどこからか漏れている、圧縮機が運転していない、膨張弁が開いていない、冷媒フィルターが目詰まりしているなど予測します。(重故障、上級者向け)
各状況を記録し把握したうえで室外機へいきましょう。
室外機点検
室外機では何から点検しますか❓
1)室外機の設置環境は変わっていないか❓
室外機の周りに物が置かれていて風をさまたげている場合があります。
あれば取り除いたりして改善しましょう。
2)運転してますか❓
ファン・圧縮機は運転してますか❓
そもそも室外機が運転していなければ冷えるわけがないですね。
何か故障しているか探し出し部品交換する必要があります。(上級者向け)
運転していれば異音・振動も確認します。
異常音や異常振動があれば保全のために早期部品交換修理します。
3)温度測定してみる
点検パネルを開けます、パネルの開閉は電源は切りましょう。
温度測定する前に内部を観察します。
変色(焼けた跡)、オイル漏れ、配線同士や配管同士がこすれていないかなどをチェックします。
結束バンドが切れていないか、切れていれば結束バンドをして下さい。
異常がなければ電源投入し運転します。
正常ならファンが回り圧縮機が運転し始めます。
各温度を測定していきます。
冷凍サイクルに沿って温度測定していきます。
圧縮機まわりから測定していきます。表面温度測定器を使用します。
次の①から⑧は冷媒が流れる順番に測っています。
①圧縮機吸い込み温度
※クーラー(低圧圧力)からきた冷媒ガスが圧縮機で圧縮され高圧圧力へ
②圧縮機吐出温度
※圧縮機からコンデンサー(凝縮機)へ送られる
③フィンコイル吸い込み温度(室外機設置場所の裏側の雰囲気の温度)外気温度とは違います。
※コンデンサーで冷媒は熱を放熱し冷やされ冷媒ガスから冷媒液が作られます。
④ファンから吹き出されている温度
※コンデンサーで放熱されているか温度差を確認
⑤冷媒液温度(冷媒ガスが室内機へ行く細い配管)フィンコイル出口温度
※コンデンサーで作られた冷媒液を測定
⑥・⑦は室内機へ
⑧冷媒ガス配管(室内機からかえってきた太い配管)
※室内機(クーラー)で冷媒液は膨張させ部屋の温度で蒸発し液からガスに変化します。
⑨①へ
※印の説明は簡単に冷凍サイクルを説明しています。
各温度を記録しておきます。
室内機と室外機をつなぐガス配管と液配管の説明
室内機と繋がっている銅配管、細い配管と太い配管があります。
細い配管は液配管です。配管内に流れる冷媒の状態を表し液配管とよびます。
太い配管はガス配管です。配管内に流れる冷媒ガスの状態を表しガス管と呼びます。
ガス配管が冷たければ冷房運転、熱ければ暖房運転になります。素手で触らないように気をつけて下さい。
今回は冷房運転ですのでガス配管が冷たければ冷房運転になっています。
逆に熱かったら暖房になっていて冷媒回路切替用の4方弁が不良で切り替わっていない場合があります、この場合部品交換修理になります。
4)圧力測定してみる
マニーホールドを使用し高圧圧力と低圧圧力を計測します。
a)マニホールドの高圧側に繋ぎます。
圧縮機で圧力を上げていますので圧縮機を境に高圧圧力になります。
この時、負荷熱と圧縮熱も加わるので冷媒の状態は高圧高温ガスになります。
b)マニホールドの低圧側に繋ぎます。
膨張弁(または減圧弁)を境に低圧圧力になります。
弁から出た冷媒ガスを膨張させるという意味で膨張弁と言われています。
各圧力を記録しておきます。
5)電圧・電流測定してみる
電圧を(RーS・SーT・RーT)3相とも測定します。
電圧が欠相していないか確認します。
また各相電圧の平均の差が10%未満なら正常です。
運転電流を(R相・S相・T相)とも測定します。
圧縮機の電流は負荷によって変わるので総電流を測定します。
三相電流の平均の差が5%未満なら正常です。
※圧縮機の電流は負荷によって変わりますがあまりにも電流値が低ければガス漏れを疑います。
まとめ
各使用状況によってデーターは変わりますので過去の記録はとても参考になります。
いつもと違うデーターになれば何か不具合の前兆かもしれません。
点検結果から冷凍サイクルを照らしあわし正常か判断することができます。
冷凍サイクルについては別の記事で簡単に説明していますので参考にどうぞ
良い空調メンテナンスマン目指して頑張って下さい。最後までありがとうございました。
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