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暑い時期になってきましたね。もうエアコンは生活上欠かせないものになっています。シーズンはじめは良くトラブルが起きやすいですが、何のトラブルもなく使用出来ていますか?
今回の異常点検は業務用エアコン カセット型 吹き出し4方向タイプの水漏れについて、空調メンテナンス業務歴30年の私がこの水漏れについて原因を追究し詳しく説明していきます。
点検対象機器
今回の水漏れ対象機器は業務用エアコン 天井カセット型 4方向エアコンです。
水漏れ箇所の確認
フィルターグリルを下すとグリルに溜まっている水が一緒に落ちてきました。
ドレンパンの水抜き栓から水漏れを確認しました。
なぜ水漏れしたのか原因を予測する
今回の水漏れはドレンパンの水抜き栓からの水漏れが原因でしたが、他にも水漏れする原因があるかもしれませんので予測しながら調べます。
いろんな状況を仮定し、どのようにして水漏れするかを考えてみる
原因1
仮定1 フィンコイルに汚れが付着していることがあります。
本来フィンコイルで除湿される時に発生する結露水はフィンコイルをつたってドレンパンに流れ落ちる設計になっていますが、フィンコイルの汚れによって流れずに途中で水玉ができることがあります。水玉になった結露水がファンによって吹き飛ばされ、吹き出し口のほうへながれて落ちてくることがあります。
仮定2 ドレンポンプ故障や詰まり、又はドレン配管の詰まり。
天井カセット型の多くはドレンポンプが組み込まれています。そのドレンポンプにスライム系の汚れが詰まったり、ドレンポンプ本体が故障したりすると、結露水を排出してくれない状態がおきます、もちろん結露水はどんどん溜まり始めます。でも安心してくださいフロートスイッチがドレンパン満水異常を検知しエアコンを異常停止してくれます。ところが、そのフロートスイッチまで汚れで固着されると満水が検知されず結露水がドレンパンから溢れでることがあります。これはドレン配管が詰まった状況でも同じことが言えます。
仮定3 吹き出しルーバー付近の湿気の誘因による結露。
これは湿度の高いときに起きやすい状況です。フィルターの汚れやフィンコイルの汚れによる風量不足、又は吹き出し温度が低すぎる、などが考えられます。吹き出し口周辺にある湿気が吹き出し風により誘引され吹き出し口に付着し結露を起こす状態です、吹き出し口の天井がカビだらけって言う状態もこれが原因と考えられます。温度設定を下げ過ぎない様にする、もしくは風量を上げる。と改善される場合もあります。
対処
仮定1~3の対処はエアーフィルターの清掃、エアコンを分解しフィンコイルの洗浄やドレンパン、ドレンポンプの清掃、可能な限りドレン配管の清掃が必要です。またドレンポンプの故障やフロートスイッチの故障などの部品交換は予算に入れておくと納期はかかりますが安心です。清掃後はドレン排水が外へ流れ出ているかの確認をしておくと確実です。
原因2
ドレンパンの水抜き栓からの漏水。
水抜き栓の素材はゴムなので何回か清掃や点検をするとどうしてもはまりが甘くなってくるんです、すると水抜き栓のゴムの隙間から結露水が漏れ出してきます。これが今回水漏れした原因です。
対処
ドレンパン水抜き栓の部品交換、又は水抜き栓にシール材を塗布してはめ込む。(シール材は硬化しないシリコンコーキング材などを使用してください)
今回の対応は水抜き栓にシール材を塗布しました。清掃点検時は毎回シール材を塗布すると安心です。
原因3
まれに複数台室内機がある機種で室内機に電子膨張弁という冷媒ガスの流れを調整している部品がありましてこの部品は停止すると閉状態になりますが開状態で固着故障した場合、停止してても他の室内機が運転してるとガスがながれてしまいフィンコイルに結露水が凍結をしはじめます、他の室内機が全停止したとたん凍結していたこの結露水が解けてドレンパンへ大量に流れ、ドレンポンプも止まり結露水が溢れることがあります。
対処
修理は専門業者へ依頼する。部品交換修理が必要です、ですがどうしても応急で他の部屋を運転したいときは水漏れする室内機も凍結しないように運転する必要があります、この場合水漏れしても大丈夫なようにバケツなど養生を下に置くなどしてドレン排水に注意しながら運転する必要があります。
(※部品交換修理するまで運転はおススメしません)
原因4
天井ボードが濡れる。
天井内での保温不良、これは長期で使用している場合に起きやすい水漏れです。保温材が長期にわたり劣化し配管に隙間ができ、配管が結露をおこし結露水がたまって天井に漏れてくるケース。
対策
保温材の巻替え修理。
工事したての場合は施工ミスになります、有償無償は工事業者に相談、依頼しましょう。
エアコン分解調査
分解しながら各部品に異常が無いか確認していきます。
ドレンポンプとフロートスイッチの点検
ドレンポンプを取り外して分解し内部に詰まりがないか確認する。
清掃してドレンポンプを組み立てる。
ドレンポンプ取り付け黒い配管も詰まりがないか確認する。
ドレンパンも汚れ具合や破損などがないか確認する。
キレイに清掃します。
これでドレンパン、ドレンポンプ、フロートスイッチ、ドレン配管の確認清掃ができました。
フィンコイルの洗浄
エアコンが分解できたら電気部を養生します。
飛び散らないように洗浄用カバーを取り付けます。
フィンコイル洗浄前の状態
フィンコイル洗浄中
フィンコイル洗浄後
キレイになりましたね。
これでフィンコイルの汚れによる水玉もできないでしょう。
あとは組み立てです。
試運転、水漏れと排水確認
試運転と水漏れの確認、排水状況の確認をし作業完了です。
エアコンを使用するにあたって普段出来ること
普段のお手入れは大事ですので自分で出来ることはすすんで行います。
こまめにエアーフィルターの清掃をする。(エアコンは停止して行う)
軽く吹き出し口を拭き掃除する。(手の届く範囲でエアコンは停止しながら行う)
ルーバーは壊れやすいので慎重に清掃してください。
部屋を過度に冷やし過ぎない。
冷房の設定を28℃に。エアコンの設定温度に疑問がある方はこちらをどうぞ。
エアコンの洗浄は専門業者に依頼することをおススメします。
たまに換気する、カビ対策には部屋の環境をよくすること。カビの発生には酸素、栄養素、温度、湿度が関係しています。
まとめ
水漏れした場合、原因を追究する意味も含め分解洗浄が基本です。
水漏れする原因はいろんな状況が重なる場合があるという事です。
普段できることはエアーフィルターの清掃や環境をよくすること、吹き出し口など拭き掃除をする。
近年ドレンパン内にレジオネラ属菌の生息が確認された事例もあり環境維持することも含め定期的な洗浄を実施することをおススメします。
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