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ポンプのメンテナンスで面倒なのがシャフトシール部のグランドパッキンの交換ですね。この記事ではグランドシール仕様からメカニカルシール仕様への変更を提案し整備します。交換する際はこのポンプがメカニカルシールに対応しているか調査してから行います。このポンプは空調用の温水ポンプで温度は80度前後で使用し、メカニカルシールが温度や仕様に対応していたので交換出来ます。
メカニカルシールに交換する事でメンテナンスの手間が省け、無駄な漏水、また錆にくくなります。
整備対象ポンプ エバラポンプ製 型式100X80FS4J611です。
部品をメーカーに問い合わせる時は製造番号も控えておくとスムーズです。部品が生産終了している場合もあるので、確認してから提案してください。
では初心者向けに整備と注意事項を合わせて紹介しますのでご覧ください。
ポンプ整備前準備
整備対象機器を確認し、ブレーカーを落とします。必ずOFFにし、投入禁止テープを張ります。
遠方から運転されると危険です。

停止が確認出来たら、吸込みバルブと吐出バルブを閉めます。
この時、吐出バルブで開度を調整している場合があるので確認し、あれば整備終了後に元に戻せるように印をつけておきます。たまに吸込みバルブで調整している現場がありますがそれは間違いです。
※バルブの調整は吐出側のバルブで行ってください。吸込み側で調整を行うと内部で気泡が出来てしまい、キャピテーションが起き、異音や振動、ポンプに支障をきたします。
水を抜いていきます。その前に、吸込みバルブと吐出バルブが効いているかを確認していきます。圧力ゲージを確認しながら水抜きバルブを開けてゲージ圧が0Mpaになったらもう一度閉めて、ゲージ圧が上がってこないことを確認します、上がってこなければバルブが効いていると判断出来ます。確認出来たら水抜きバルブを再度開けてポンプ内部の水を抜いていきます。この時呼び水コックからエアーを入れてあげると早く抜くことが出来ます。水が全て抜けたら準備完了です。
では手足元注意で整備します。ご安全に
ポンプ取外し
渦巻き室はそのままで大丈夫ですが内部の点検とOリングのハメアイ部は清掃します。鋭利な箇所で手を負傷しないように気を付けて下さい。
何か異常がある時は作業を止めて担当者に報告します。写真を撮っておきましょう。

ポンプを取り外した状態。
重量物なので足元に気を付けて、重ければチェーンブロックやワイヤーをかけて取り外します。

ポンプ分解
手元に気を付けながら、各部品ごとに分解します。

交換部品は次の写真です。
グランド仕様からメカニカル仕様に交換する部品はEBARAと書いてある箱(メカニカルシール)1個と写真左のケーシングカバーです。あとは消耗部品です。上からOリング、ボルト、クッションボルト、ベアリング、呼び水コック、呼び水カップ、水切りリング、シャフトです。

メカニカルシール交換は下記の記事を参考にしてください。
ポンプ組立
再使用する部品の清掃と錆を落とし組み立てます。
黒くなっているのは錆転換材を塗布しています。
メカニカルシールの取り扱いは細心の注意が必要です、シール部に傷が付かないように気を付けて組み込みます。
これでグランド仕様からメカニカル仕様へ変更完了です。

ポンプ取付
重量物なので重ければチェーンブロックやワイヤーなど使用します。無理は禁物です。

モーター分解ベアリング交換整備
モーターを分解しベアリング交換します。
ベアリングは消耗部品なので2年周期で交換する事をおススメします。

ブラケットを取外しベアリングを交換しました。
ステーターに巻かれているコイルに傷を付けないように気を付けて交換します。
この時、ブラケットとベアリングのハメアイ部の摩耗と押えバネの摩耗も確認しておきます。
可能であればローターも取り外して内部を点検清掃します。

モーター絶縁測定
組立が完了したらモーターの絶縁測定を測ります。
三相200V仕様なので、メガテスター500Vレンジで0.2㏁以上あることを確認します。
電磁開閉器の二次側(モーター側)を測定して下さい。

カップリング間の芯出し(アライメント)調整
カップリング間の芯出し調整です。
先ず、水を張ります。芯出し調整は水を張ってから調整してください。
水抜きバルブを閉めて、最初に閉めた吸込みバルブを少し開けエアー抜きからエアーを抜いていきます。この時、呼び水コックからエアーを抜きます。エアーが抜けたら水漏れが無いか確認してなければ吐出バルブも開けてバルブを全て元の状態にし配管上部に付いている自動エア抜き又は手動バルブから残りのエアーを放出します。
カップリング間の芯出し調整はテーパーゲージが簡単で芯が出しやすいです。
次の値まで調整します。
平行度は定規で周囲上下左右0.05㎜以内で良好です。
開き度は上下左右テーパーゲージで0.1㎜以内で良好です。
芯出しを丁寧にしましょう。異音振動、早期故障につながります。

整備完了
塗装し整備完了です。

まとめ
ポンプ点検で面倒なグランドパッキンからメカニカルシールに変更することでグランドパッキンの調整や交換を省いて点検効率を上げる事が出来る。現場で提案、おススメしてあげるのもありですね。
参考になりましたでしょうか、空調メンテナンス初心者を応援しています。
最後までありがとうございます。
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